ランニング時も「結果を予想して」走っている?

 私は週5日ほど走っているのですが、走り出す前に「何となく」シューズを選びます(薄底や厚底など数種類)。また、W-upを兼ねて1Km7分ほどのペースで走り出すのですが、1.5Km地点でその日のペースが「何となく」決まります。そのまま㌔7分のこともあれば6分30秒に上げる場合もあります。
 私はC社製の加速度計(モーションセンサー)を利用して、ストライド・ピッチ・接地時間や接地のタイミング・減速量・下肢のバネ係数などを250m単位で記録しています。面白いのは、同じ感覚(例えば㌔7分ピッチ182歩/分)で走っているつもりなのですが250m毎に見てみるとかなり変動しているのです。路面状況も違えばその日の体調も前半-中半-後半で違うので当たり前といえば当たり前なのですが「結果が㌔7分182歩/分となるように予想して」走っているようなのです。
 おそらくレース中であっても「自分の現在の状態と後半のコンディション」などを予測してランニングスキル(ここからはピッチ走法を意識するとか・・)を決定しているようです。「予想通り」であれば「結果との誤差( ”サプライズ” といいます)」が少なくなり「ドーパミン報酬系」が働くと考えられています。一方あまり良い結果が予想されないときは「それなりに」対応して「纏めている」ものと思われます。
 レースでも、スタートしてから数キロ経過し「なんとなく今日は行けそう・・」との予感がして、レース中盤からストライドを抑えてピッチを上げてペースアップをし、そのことが心理的高揚感(”よ~し、このままいければ久しぶりのベストタイムが出る”・・このプロセスはエネルギー供給系でのグリコーゲン動員力も高まります)を伴って達成感と充実感と幸福感を感じながらゴールすることができるのだと思います。
 この「予測」と「経過」と「結果」の誤差が少なくなることは「経験知」の積み重ねで改善して行くようで、マラソンの川内優輝選手の異例のレース出場頻度が高いこともトレーニングと割り切れば納得できるような気もします。
 また「集団走」をしていると集団なりの固有のリズムが生まれてくるようで「ミラーニューロンシステム」が働いているのかもしれません。「他者との情動の共有」も生じますので他者を知覚-理解する能力に関わる集団性や社会的スキルも生ずるようです(リゾラッティ、2020年)。ですから、実際のレース中ではそのリズムが自分のリズムと合わないと判断すると集団から離れたりもします。実は「同じストライド×同じピッチ=同じスピード」で走り続けているといわゆる「中枢性抑制」がかかりパフォーマンスが低下する可能性(山崎、2015年)があるので、給水時に一瞬ペースアップしたり集団から離れたりするケースもあるようです。
 

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