最近の異常な暑さの中で走っている方は大変な苦労をされていることと思います。
 いつものコースをいつものペースで走っているのに途中から心拍数が上がってきて下がらなくなる・・という経験はありませんか?
 これはCVD(Cardio-Vascular-Drift)という現象と関係があるようです。
 暑熱環境下では発汗量が増大して血液の粘度が上昇します。つまり「濃い(重たい)血液」になるので全身に送り出すのに苦労することとなります。そこで一回拍出量を減らして心拍数を増加させる(自転車のギアチェンジのようなイメージ)戦略をとって酸素供給量を確保しているようなのです。また末梢血管も拡張させて血流抵抗を減らしても対応しているようです。(林恵嗣・西谷保:暑熱、寒冷環境、斉藤満編「循環 運動時の調節と適応 Ⅱ」、NAP、2007年)
 通常のランニング中にも発生するのですが暑熱環境下では顕著に現れます。重症化すると体調不良を誘発しますので、通常より水分摂取量を増やす必要があるようです。
 運動開始前に350~500ccの水分を摂取することが薦められていますが、あまりに暑い時は運動中であっても「経口補水液(ジェリー状のものも含む)」の摂取が有効なこともあります。水分だけの摂取の場合には発汗によるミネラルの損失が補えずに「低ナトリウム血症」を引き起こして痙攣や意識障害を招くことがありますので注意してください。
 他のスポーツ活動中であっても心拍数をモニターしていないと気が付かないことがありますので注意が必要です。「なんか変?」と感じたら一旦運動を注視して水分補給を心がけてください。