水泳の池江璃花子選手が白血病の診断を受け競技休止中です。本人も合宿中の練習で疲労感が強く「肩で息をする」くらいの状況だったそうです。
白血病は血液中で白血球のがん細胞が増殖して結果として赤血球が減少して酸素運搬能力が低下します。つまり有酸素性の持久力が維持できない状態となります。
 「貧血」には様々な要因が関係します。長距離ランナーや踵を強く打ちつける種目(剣道やバスケットボール)では、200拍/分で高速で体内を巡回している赤血液が「ヒールストライク」で破壊されて貧血が起こります。おしっこの色が茶色になる「血尿」は赤血球中のヘモグロビンが破壊されて漏れ出したものです。これらは「鉄欠乏性貧血」に含まれます。
 ところが本人は「貧血」と思っていても、検査を受けていない場合には他の要因との関係も疑われます。
 例えば「低血糖症」は、無理な糖質ダイエットなどにより炭水化物由来の糖質(グリコーゲン)が低下していると、脳は糖質しか使えないので意識低下を誘発する可能性があります。また「低血圧症」や「午前中不調症候群」の可能性もあります。貧血ではないにもかかわらず「鉄材投与」を行っても効果は限定的ですので、体の不調や練習遂行に困難を感じたらまずは検査を受けることが重要です。
 しかし、現実には女子長距離選手の三主徴(エネルギー不足、無月経、骨粗鬆症)が問題視されているように、これらの要因は「複合的」に生じます。3月のランニング学会でも「女性ランナーの諸問題~守れ思春期の笑顔と健康~」と題するシンポジウムが開催され、選手寿命の短さや骨密度低下が競技をやめても改善されないことなど、改めて問題の深刻さが浮き彫りとなってきました。(続く)