2020年 1月 の投稿一覧

厚底シューズの威力は?

 最近話題のN社の厚底シューズ・・重量は200~250g程度なので厚底の割には軽いのですがポイントは反発性の高いカーボンプレートを挿入している点です。履いたらみんな自己ベスト更新・・との噂が流れ品薄で予約待ちの状況も・・値段は高いものでも3万円で普及モデルは1万円・・かつての競泳水着:レーザーレーサーのように数万円で予選と決勝2本でおしまい・・に比べれば高いわけではありませんし、履いて自己ベストが出るなら魅力的な選択肢のひとつになります。
 A社とウェア契約をしている大学が全員N社のシューズで箱根を走りました。「商標」に関する陸上競技のルールでは、ウェアとシューズのメーカーは同じでなくともよいのですが関係者の間では少し話題になっています。
 問題はこの高反発性を生みだすカーボンプレートが、ルール上で禁止されている「バネ」に該当するかです。しかし陸上競技の短距離用スパイクでは、すでにカーボンプレート内蔵の硬く設計されたものが市販・使用されているので、即「違反なので使用停止」とはならないように思います。鹿屋体育大学の永田隆先生は、この短距離用スパイクで、厚さ(反発性)の異なるカーボンシートについて選手の脚力や体重との関連を含め検討をされています。この研究では選手のタイプに合わせて反発性の異なるカーボンシートを選択したほうがパフォーマンスが改善される可能性があることを示唆されていますので、おそらく長距離ランナーでも市販のものがマッチする選手とそうでない選手がいるものと思われます。
 実はランニングフォームにはプロポーションも含め様々なタイプがあり、大変複雑な関係にあります。また、レース前半と後半とではランニングスキルを変える必要があるのですが「シューズ交換」という究極の選択肢もあるのかもしれません。

夢のダイエット?

 TVコマーシャルやネットでは様々な「夢のダイエット法」が宣伝されています。「苦労せずに・・」「食事制限なしで・・」「1ヵ月で10Kg減・・」などなど様々です。
 スポーツマンのダイエットはどう考えるべきなのでしょうか。日本産婦人科学会や日本スポーツ協会などが「女性アスリート健康委員会」を立ち上げています。女子長距離選手や「審美系(新体操やフィギュアスケートなど)」選手がジュニア期から練習量に見合わない(足りない)カロリー摂取を行い、結果として無月経や骨粗しょう症、摂食障害をまねき、早期に選手生命に致命的影響を与えると警鐘を鳴らしているのです。
 スポーツマンの体重管理は「筋肉量増加による増量」と「脂肪量減少による減量」が原則です。筋組織は運動を行うために必要なものですが、糖質制限など極端なダイエットを行うとストレス反応から筋や血液、免疫細胞などを分解してエネルギーに変換しようとして運動能力を低下させ「本末転倒」の結果を招きます。練習量と内容(筋力なのかスピード持久力なのか)に見合った食事摂取が重要で、当然練習が休みの日(またはケガなどで練習ができない期間)の食事内容も考慮する必要があります。
 またスポーツマンのエネルギー代謝システムは、十分な練習量と食事量に対応して身体運動のエネルギーをつくり出すことに適応しています。「夢のダイエット」のような「運動抜き」や「糖質制限」などによる体重管理とは別のシステムとして働いています。現役を引退した選手が肥満傾向に陥るのは運動量と食事量のアンバランスに対する「不適応」なのです。(続く)