夢のダイエット?

 TVコマーシャルやネットでは様々な「夢のダイエット法」が宣伝されています。「苦労せずに・・」「食事制限なしで・・」「1ヵ月で10Kg減・・」などなど様々です。
 スポーツマンのダイエットはどう考えるべきなのでしょうか。日本産婦人科学会や日本スポーツ協会などが「女性アスリート健康委員会」を立ち上げています。女子長距離選手や「審美系(新体操やフィギュアスケートなど)」選手がジュニア期から練習量に見合わない(足りない)カロリー摂取を行い、結果として無月経や骨粗しょう症、摂食障害をまねき、早期に選手生命に致命的影響を与えると警鐘を鳴らしているのです。
 スポーツマンの体重管理は「筋肉量増加による増量」と「脂肪量減少による減量」が原則です。筋組織は運動を行うために必要なものですが、糖質制限など極端なダイエットを行うとストレス反応から筋や血液、免疫細胞などを分解してエネルギーに変換しようとして運動能力を低下させ「本末転倒」の結果を招きます。練習量と内容(筋力なのかスピード持久力なのか)に見合った食事摂取が重要で、当然練習が休みの日(またはケガなどで練習ができない期間)の食事内容も考慮する必要があります。
 またスポーツマンのエネルギー代謝システムは、十分な練習量と食事量に対応して身体運動のエネルギーをつくり出すことに適応しています。「夢のダイエット」のような「運動抜き」や「糖質制限」などによる体重管理とは別のシステムとして働いています。現役を引退した選手が肥満傾向に陥るのは運動量と食事量のアンバランスに対する「不適応」なのです。(続く)

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