EMS(Electro Muscle Stimulation)は、低周波電流で筋肉を刺激して収縮させる器具のことです。〇◎パルスとか✕▲ニクスとかいう名前の低周波肩こり治療器も同じ原理です。電気刺激で強制的に筋を収縮させるのですが、比較的遅い周期(周波数)で刺激を繰り返します。速い周波数の収縮では通常の筋収縮と同じで、自分の意志ではないので「痙攣」したような感じがします。
 EMSトレーニングとは、この低周波刺激を利用して強制的に筋収縮を起こさせます。筋が収縮するので当然筋内のエネルギー生産も必要となりますので、随意的収縮と同じような効果が得られる(本を読んでいてもトレーニングができる!)といううたい文句となります。
 ただし、スポーツ活動での筋収縮は、速筋系筋線維では1秒間に100回近い収縮(攣縮といいます)を行います(遅筋線維は30~40回程度)ので、「低周波刺激」では実際のスポーツ活動とは異なる収縮様式となってしまいます。負傷後のリハビリテーションや激しい運動後の筋の硬くなった「固縮」の改善には有効なのですが、スポーツトレーニング(筋トレ)としての効果には若干疑問が残り、フリーウェイトや実際の動きを利用した筋力トレーニングの方が効果的と考えられます。
 マッサージや静的ストレッチングもゆっくりとした伸展刺激を利用しますのでクーリングダウン効果はあるものの試合前の適応には慎重な対応が必要といわれています。また、アイシングも患部の冷却で炎症を緩和する目的で行われますが、冷却したリアクションで血行を促進させる効果もあるといわれています。しかし、いずれも「程度の問題」がありますので個人の状況に応じた専門家のアドバイスが必要です。