けん玉などで新しい技を覚えようとするときに、動きをまねながら「ズ~~ット、パ!」などというタイミングでやってみると上手くいくことがあります。
このような擬音的・擬態的表現を「オノマトペ」といいますが、動作とかかわって「コツ」を伝える可能性が指摘されています。
かつて日本の運動生理学の権威・猪飼道夫先生が、筋肉の働きを記録する筋電図の分析について「どうやるか(Spacing)」「どのくらいやるか(Grading)」「いつやるか(Timing)」という3次元的視点から考えることを提唱しました。フォーム(型)を覚えたらそれをいつ(適時性)、どの位(アクセント)やるのかを考えることで、極めれば「型より入りて型より出づる」という世阿弥の境地にもつながるのかもしれません。
また、私たちが動作を起こすときの脳の運動野からの「運動司令」は、「関節角度」ではなく「関節トルク」という力の入れ方にかかわっていることも指摘されています(ATR:川人光男先生)。つまり「肘を180度から70度に曲げる」という指令ではなく「ギュン!と曲げるの」とか「ギュ~ン!と曲げる」とかいった速度と力に関係した成分との関係が強いとされています。
また、骨や筋肉の解剖学的な特性には共通性とともに「個人差」と「経験差」もありますので、あのコーチよりこのコーチの表現や例えの方が自分には理解しやすい・・ということも起こります。「〇●のようにやってください」とい指示されても「〇●の経験」がなければ動きのイメージがつかめないのです。
「せーの、ホイ」ではなく「せ―の、で、ホイ」のタイミングの方がやり易いということも起こりますので、実はオノマトペでの動作の表現も「共通性」と「個別性」を持っているようなのです。