運動を続けても体重は減らない?

 継続的に運動(トレーニング)を実施している人の場合には、原則的にあまり体重変動はありません。運動実施の刺激によって筋量は維持されますが、食生活分析からは消費カロリー以上の食事内容は「余ったカロリーは中性脂肪へ!」という人類進化の原則(トップアスリートでも体重当たり2g以上の蛋白質摂取でも同じことが起こります)がありますので体脂肪の増加による体重の増加は避けたいとする食事行動をとるからです。
 アスリートにとっては、体重維持や体重増加は筋肉量の増加で、体重減少は体脂肪量を減らすことが重要で、体脂肪量の増加や筋肉量の減少では相対的に運動能力の低下をまねき、いわば「燃費の悪い車」になってしまいます。
 一方、それまであまり運動をしなかった人が、思い立ってトレーニングを始めると筋肥大が起こるのですが体脂肪は減少する可能性が高いので最初の数週間は体重自体はあまり変動しません(体脂肪率を継続的に測定することが重要です)。そして一定期間後は体脂肪の減少により体重が安定してきて、トレーニング(身体運動)が習慣化すると燃費の改善された「省エネな身体」に代わってきます。
 健康維持のために「何とかしなくては・・」と運動を開始すると、1時間のジョギングでおよそ500Kcalを消費します。そのことでそれまで蓄積するはずだった体脂肪換算50g分を消費することができるのですが、突然運動を開始したことにより食欲の変化(通常の生活パターンでは ”レプチン” という満腹ー空腹に関わるホルモンが主役となる)も発現しますのでやはり「継続的」に食事と運動と休養の生活習慣と行動改善をはかることが重要なようです。
 前述のポンツァー先生やロバーツ先生らの研究結果を考えても、私たちが獲得してきた「省エネな身体」は、運動実施によって体重が簡単に劇的に変動することはありえないようなので「摂取エネルギーの管理」が最も重要なようなのです。特に炭水化物摂取に関わる「グリセミック指数」は大変重要なようで、摂取後の「食欲」までもコントロールをしているようなのでアスリートにとっては30分後に次の試合がある場合と明日10:00から準決勝がある場合では食事摂取の内容が変わってくるように思います。また、トレーニング実施日と休養日、またケガなどで練習量が低下しているときでは食事内容を調整することが重要となってきます。
 
 

SNSでもご購読できます。