PFCバランスって何ですか?

 私たちの食事の「5大栄養素」は皆さんご存知の通りです。このうちタンパク質(P)、脂質(F)、炭水化物(C:糖質と食物繊維)はからだを作る栄養素、そしてビタミンとミネラルはそれらを調整する栄養素と分類されています。
 例えばスポーツ活動で最も重要な「スピード持久力」は、糖質から作られる「筋グリコーゲン」がエネルギー源となりますが、その取り込みには原料である糖質とともにビタミンB2とアリシル(硫化アリル)、クエン酸(お酢)などが必要といわれています。
 PFCバランスとはこの食事に含まれる3大栄養素の比率のことで、「ファーストフード」「ジャンクフード」と表現される食事内容は脂質の割合が高くパフォーマンスや健康レベルを下げることはよく知られています。
 スポーツ栄養学で推奨されているのは糖質60~65%、脂質15%、タンパク質20~25%という「和食型バランス」です。
 健康障害が指摘されている極端な「糖質抜きダイエット」は、相対的に脂質の割合が高まるいわば「低カロリーファーストフード」化でありかつスピード持久力の原材料である糖質を制限するという点で、筋や血液のタンパク質分解を促進するという「本末転倒」の結果を招いてしまいます。また、主食と主菜のみの食事内容ではビタミンやミネラルの不足を招き、サプリメントで継ぎ接ぎするという問題が生じます。この点でトレーニングでのカロリー消費量に見合った「栄養フルコース型」のメニューが推奨されています。
 また、最近「腸内細菌叢」の役割の重要さも指摘されてきており、腸内細菌の「善玉菌」の餌:食物繊維質の多い海藻や野菜を含む和食の主菜や副菜の摂取が注目されています。この腸内細菌叢は「善玉菌」「日和見菌」「悪玉菌」から構成されていますが、その比率は食事内容や体調によって微妙に変化しているようで、脂質の多い食事をとり続けると「善玉菌」が減少して「日和見菌」が「悪玉菌」に味方をして体調を悪くするのではないかと指摘されています。慢性大腸炎などの恒常的な疾患に対する究極の「便移植療法(抗生物質で腸内をきれいにしてから他人の便を利用する)」も行われています。

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