専門的持久力?

 ケガなどでトレーニングを中断したのち再開すると、全体的な練習時間は何とかこなせるのだがレースペースでの課題ができないことが良くあります。
 これは「一般的持久力」と「専門的持久力」の違いとされています。
 持久力の代表格は「最大酸素摂取量」といって1分間体重1Kg当たり何ccの酸素を取り入れられるのか・・という「有酸素的能力」があります。これに対して血中乳酸濃度を指標とする「乳酸性作業閾値」は、もう少し出力レベルの高い「解糖系」も関与してくる概念で、フルマラソンのタイムとの関連が高いとされています。フルマラソンは最大酸素摂取量の80%、血中乳酸濃度4Mmol/dl 以下で走り続けていますが、これ以上の強度(スピード)で走ると有限である解糖系を活発に使い始め、乳酸をエネルギーに変換するシステムが満杯になって乳酸濃度が上がって運動の継続が厳しくなり、最後まで続かずにペースダウンしてしまします。
 「一般的持久力」は有酸素的持久力の高さを反映しているのですが「専門的持久力」はこの「解糖系」を含んだ概念で、いわゆる「ここでスタミナが切れました・・」と表現される筋グリコーゲンが減少した「スピード持久力の低下」と関連しています。
 私たちがある程度以上の強度で運動を継続しているときは、複数の筋群を上手く組み合わせて対応しています。それぞれの筋には個別の「3✕3システム」がありますので、解糖系と有酸素系を上手に組み合わせてエネルギー生産を行っているのです。「専門的持久力」のトレーニングが必要な理由は、この動きとエネルギーをつくり出すシステムの「再構成」が必要であり、かつエネルギー供給系の減少に対応できる複数の動作系(スキルモード)を準備することが求められているからです(疲れたら疲れたなりに動きを変えて対応する)。

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