「メンタルプラクティス」って何ですか

かつては「イメージトレーニング」とも言われた「メンタルプラクティス」は、実際の運動を伴わずに心理的に運動経過を確認し実際のパフォーマンスの向上を目指すものです。
トレーニングの原則には「意識性」と「感覚性」というセットがあります。言葉によるトレーニングの目的や意義、経過の確認とそれに対応した実際の運動感覚を想定した練習方法です。私は「感覚(随意)的-言語(意図)的制御ループ」と呼んでいます。運動の遂行は上手になれば言語的確認はバックグラウンドに後退し、意識せずに行えるのです。ところが何かトラブルが発生すると「アレ、何だ?」という反応(定位反応といいます)が起こり、続いて「グリップか?」「テイクバックか?」といった言語的確認と修正が起こり、再び非言語的な運動遂行が始まります。
言葉による確認は時間がかかりますので、通常は感覚的に行われています。シューティングゲームなどの際に「右上だ」「こんどは左だ」などと喋っていては間に合わないので、感覚的に状況を判断して感覚的に対応しているのです。このプロセスで不具合が生ずると「定位反応」が起こって動作系が停止します。
問題はこのプラクティスの「リアリティ」です。実際に想定される状況での入念な実施が重要です。かつてあるメンタルトレーナーの方が「プロ野球投手でいい加減なのが多くてね・・」と嘆いておられました。あまりにもメンタルプラクティスの時間が短かったので内容を尋ねたところ「バッチリです、全員三球三振です・・」だったそうです。選手の願望としては理解できるのですがそのような状況は「非現実的」で「非効果的」なのだと思います。(続く)

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