私は ”パワー系” それとも ”持久系”?

私たちの骨格筋には3種類の筋線維(速筋線維2種と遅筋線維)があります。筋の最小のものを「筋原線維」といい「筋節」という最小単位が連続してつながっています。この筋節は「アクチン」と「ミオシン」という収縮たんぱくが規則的に配列されて模様のようになっていますので「横紋筋」と言われます。よく出てくる筋線維の画像で速筋線維が白や灰色で遅筋線維が赤黒いのはアクチンやミオシンではなく、筋線維に含まれている酵素やエネルギー源などによるものです。

アクチンとミオシンが滑り込み筋線維の収縮が起きますが、その際は筋線維内のアデノシン3リン酸をアデノシン2リン酸に分解するエネルギーを利用します。そしてそのままですと筋線維が再度収縮できなくなりますので、連続収縮するためには何らかの方法で直ぐにエネルギーを補填してアデノシン3リン酸に戻さなくてはいけません(アデノシン3リン酸はなくならないと考えられています)。

ハイブリッドエンジンのように、急速にエネルギーを補充するバッテリーに相当するものが「ハイパワー系(クレアチンリン酸系)」、ガソリンエンジンのようにそこそこのスピードでグリコーゲンを分解するものが乳酸でお馴染みの「ミドルパワー系(解糖系)」で、これらは「無酸素性エネルギー供給機構」とよばれます。これに対してソーラーパネルのように高出力ではないが連続的にエネルギー生産をするものが「ローパワー系(有酸素系)」であり、筋細胞内のミトコンドリアを効率的に駆動して糖質や脂質から連続的にエネルギーを生み出すもので、解糖系で産出された乳酸をも利用することができます。

つまり「動きを作り出すシステム」としての3種類の筋線維だけではなく、「エネルギーを作り出すシステム」にも3種類があるのです。私はこれを筋の「3×3システム」と表現しています。”◎〇系”は、この9個のマトリクスの中の位置づけや、継続する運動の中でその位置を巧みに変容させることによって実現されているのです。(続く)

 

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