”ルーチンワーク” って何ですか?

前回のラグビーワールドカップで話題になったのが五郎丸選手のキック前の「ルーチンワーク」です。重要なプレーを行う前に一定の手順を踏んだ連続した動作を繰り返すことでゴールキックを成功させるというものです。トップクラスの選手は動作の「誤差」はほとんどないのですが、やはりプレッシャーのかかるプレイの前に不安を解消し安定したプレイを実現する行動をとるようです。
引退した大相撲の高見盛関の立ち合いに向かう前のルーチンワークを覚えている方も多いと思います。高見盛関は稽古場ではそんなに強くはないのだが、本場所では無類の集中力を発揮するのだそうで、確かに稽古場での申し合いのたびにあんな気合を入れることは現実的ではないと思われます。
ネットゲームの試合前のウォーミングアップは、「ラリー」「スマッシュ」「サーブ」など試合中に行われる動作をお互いに繰り返します。この際「あるプレーは必ず入れる!」という選手がいます。これが決まれば「これからの試合は大丈夫!」という縁起担ぎもあるようです。
「ルーチンワーク」はある意味でスポーツ心理的学な行動で、次の事態への不安解消やリハーサルといった意味が大きいのです。
毎日の練習で必ず「ルーチンワーク」を入れるということは、トレーニングの安定性を担保するものでもありますが、実はこれが「ウォーミングアップ」の「ステレオタイプ化」という問題を引き起こす可能性もあります。新たなプレーやスキルの獲得には「ルーチンワーク」が邪魔をする可能性もあるのです。(続く)

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