ウォーミングアップって必要なのですか?

 スポーツを始めるときに、通常はいきなり運動を行わずに「準備運動 ⇒ 主運動 ⇒ 整理運動」という手順を踏みます。
 準備運動の目的は、スポーツ外傷・障害の予防と主運動の効率的目的達成です。特に激しいトレーニングを行うときや特定の運動スキルの効率的獲得を目指すときには「準備運動」を工夫することの重要性が指摘されています。準備運動では、該当部位の可動域の拡大や筋温上昇などの全般的な準備だけではなく、運動形態の個別的準備も重要です。例えば、距離を目指す跳躍動作の練習実施時に、準備運動でうっかり高さを目指す跳躍運動を入れてしまうと、その後の本練習で何となく違和感を感じてしまう例もあります。また短助走での跳躍運動が全助走での跳躍運動に悪影響を与えることもあります。
 このような現象の背景には「運動の特異性」があることが指摘されています。旧ソ連の走高跳のコーチ・ジャチコフは、ジャンプ運動には様々な特異性があり「一般的なジャンプ力」というものは存在しない・・と指摘しています。速度やテンポ、リズムや強度はそれぞれのジャンプ動作で異なる・・ということです。
 ましてや球技などではポジションによって「運動の特異性」が異なります。フォワードとバックス、ゴールキーパーなどでは最終的にはそれぞれのポジションに応じた準備運動を入念に行わなくてはいけないのです。
 スタティック・ストレッチングだけでは準備運動にならない・・という指摘もこの「運動の特異性」を反映しているものと思われます。実際のプレーに類似した動きから構成されるブラジル体操などのバリスティック・ストレッチングから主要な動作のリハーサルを経て、当日の課題である主運動の実施に進んでゆくことが効率的なトレーニングには求められています(続く)。

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