私は ”速筋系” それとも ”遅筋系”?

元旦駅伝も箱根駅伝も終了しましたが、只今ロードレースシーズン真っ盛りです。
長距離ランナーが話題となりますが、箱根駅伝では1500mの選手も登場しました。
ご存知のように私たちの筋肉には同一の筋肉内に「速筋系筋線維」と「遅筋系筋線維」が混在しています。また速筋系筋線維にも「超瞬発型」と「瞬発型」の2種類が存在しますので、私たちの筋肉には3種類の筋線維が混在していることとなります。
この遅筋線維と速筋線維の比率が筋の収縮の性質を決めるわけで、垂直跳や立幅跳の記録が良い人はパワーがあるので「速筋系」とされています。瞬発系のトレーニングを実施するとこの速筋系筋線維が発達(筋肥大)して収縮力が高まります。
では、長距離が得意な人の場合はどうなのでしょうか?
持久的トレーニングを行うと改善の効果は大きいのですが、トレーニングを行っても遅筋線維の数が増えることはありませんし、遅筋線維はあまり肥大しません。また 速筋線維と遅筋線維の比率はトレーニングによって変わらないことがわかっています。
これは毛細血管の発達やエネルギー代謝プロセス改善などの機能的変化起こるからです。また、スピード持久力の改善には速筋系筋線維(「超瞬発型」ではない速筋線維)が大きく関与します。このことから、長い時間運動を続けることができる「持久性」と一定の距離を速く走る「持久力」とは区分して考えたほうがよさそうです。つまり「長い時間運動を続けられて」かつ「速い」ことが競技で必要な「スピード持久力」ですので「有酸素的持久性」だけでは不十分なのです。
また、パワーを決定するには筋肉の「太さ」だけではなく「長さ」も重要なので、例え遅筋系筋線維が多くとも手脚の長い選手はそれなりのスピードを生み出すことができます。現女子400m日本記録保持者の千葉選手も筋線維の遺伝子検査では長距離的要素があったようですし、ケニアやエチオピアのマラソントップランナーはジャマイカのスプリンターと同様の筋線維組成の遺伝子特性を持っているとも報告されています。
つまり筋肉の組成(速筋と遅筋の比率)だけでは単純に ”◎◎系” とはならないようです。(続く)

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