心拍数からわかること

最近は安価な「スマートウォッチ」でも、緑色ダイオードから光学的に心拍数を測定できるようになりました。
手首の血管に心拍にあわせて血液が流れると「ヘモグロビン」が光を吸収します。この変化の濃淡の時間間隔を読み取って計算して1分当たりの心拍数を表示する原理です。ですから寒いときに手首の血管が収縮して血流が悪くなると精度が悪くなります。胸部につけた送信機タイプのものは、心電図と同じ電気信号を処理しますので精度が高いのですが「煩わしい」のです。
心拍数は、運動の継続による酸素消費量の増大と、自律神経(交感神経)系の活動に反応して上昇します。人前でスピーチをする直前に「ドキドキ」するのは後者の影響です。まさに「こころの臓器」なのです。
「心拍トレーニング」は、運動強度の推定を心拍数から行う方法で、最大強度の60%と80%が持久性トレーニングのガイドラインとなります。つまりAさんとBさんがレースの10Kmを、90分と60分で走れるとすると、1キロ10分の同じスピードで練習していても「運動強度」と「トレーニング効果」が異なることとなります。特に80%強度の心拍数の時にどのくらい速く走っていられるかでレースのパフォーマンスが決まるといわれています。そして、80%強度でのランニングスピードを改善するには、何故か60%強度以下の練習量が大きな影響を与えます。つまり10Km90分で走る方では1キロ10分のスピードで走っていては運動強度が高すぎることとなります。まさに過ぎたるは及ばざるがごとしなのです。
では、具体的にはどのようにして計算するのでしょうか・・
著名な方法は「心拍数上昇のキャパシティ」から推定するもので、じっとしている時の「安静時心拍数」と「運動時最高心拍数」が基準となります。最高心拍数と安静時心拍数の差を「100%」として60%や80%を推定するのです。ただ「運動時最高心拍数」を求めることはリスクを伴いますので「推定最高心拍数」として「220‐年齢」で産出する方法が「カルボーネン法」といわれるやり方です。
40歳の方で、安静時心拍数が60拍/分の場合は、推定最高心拍数は「220-40=180拍/分」となり、60%強度は、安静時60拍/分に、(180-60)=120拍/分×60%の72拍/分を加えた132拍/分ということとなります。
60歳の方で、安静時心拍数が70拍/分であれば、60%強度は、安静時70拍/分に(160-70)=90拍/分×60%を加えた124拍/分です。(続く)

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