スポーツ実施中の暑さ対策は?

人類(ホモ・サピエンス)は20万年の進化の中で「発汗による体温調節」を獲得した極めて珍しい「動物」です。これは、アフリカのサバンナで「昼間」に移動する必要性があったからです。「持久狩猟」といって、発汗により体温調節のできないシカ(アンテロープ)を20~30Km追い回して熱中症にして仕留めます。ライオンやヒョウも発汗による体温調節ができませんので昼間は寝ていて安全です(まさに”ライオンは寝ている”!)。
発汗により体温調節ができるものを「能動汗腺」といいます。これは子どもの頃の生育環境によってその数が決まり、後天的なトレーニングでは増加しないといわれています。これが暑さに強い「ヒートランナー」がいる所以です。
ですから「発汗機能」があまりよくない(他人より汗をかきにくい)人の場合は、長時間体温上昇を伴うような運動は苦手ということです。ただし、長距離ランニングを繰り返すと発汗機能は改善しますし、その日の体調によっても発汗機能は異なります。
スポーツ実施中は、発汗のための適切な水分補給が必要です。また、水だけを飲んでいると塩分補給が追いつかず「低ナトリウム血症(昔でいう”水あたり”)」になり痙攣を誘発します。マラソン後半、水分補給したのに「脚の痙攣でリタイア」はこのケースが多いのです。スタート前のウォーミングアップから、300~500ccの水分やスポーツドリンクを摂取して発汗機能を活性化しておくことをお薦めします。また高温環境下では、熱中症対策のいわゆる「塩飴」など(飴ですので糖質もある)の摂取も必要かもしれません。
ウェアは「通気性」の良い素材と「襟付きやVネック」デザイン(新しいTシャツなどの通気性のない ”丸首” はNG)が体熱の排出(伝導・対流・輻射・蒸散の4ルート)には有利です。(続く・・)

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