「超加工食品」って何ですか?

_最近「超加工食品」の健康への影響が話題となっており、メキシコでの食生活の急変が肥満の劇的な増加を招いていることが紹介されています(NHK:ヒューマンエイジ 食への欲望、2024年放映)。
_「超加工食品」の定義は、2016年にブラジルの研究者らが提唱した「NOVA分類」にしたがったもので、加工度により食品をグループ分けしています。第1群は、新鮮な、あるいは冷凍の果物や野菜や魚介類や肉類、小麦粉、乾燥パスタや生パスタなど、未加工または最小限の加工しかされていない食品で、1つの原材料のみからできているもの。第2群は、植物油、砂糖、コーンスターチなどの「加工食品の原料」で、未加工食品から直接抽出されるもの。第3群は、防腐剤の入っていないベーカリーパン、ほとんどのチーズ、塩と水だけを加えて缶詰にしたツナ缶や豆や野菜の缶詰などの「加工食品」。そして第4群が「超加工食品」とされるソーダ、キャンディー、クッキー、ケーキ、エナジーバー、フルーツヨーグルト、食品代替バー、シェイク、ホットドッグ、大量生産された各種包装パン、シリアル、冷凍食品などです。
_塩分、糖分、飽和脂肪酸のとりすぎが、慢性の炎症、高血圧、高血糖、心臓病、2型糖尿病などにつながることはよく知られていますが、超加工食品の摂取量が増加すると、肥満を誘発するだけではなく、がんのリスクを12%、認知症のリスクを25%を上昇するのなど様々な指摘がなされています。
_ボストン大学のシェル先生は、栄養学者のホール先生の研究を引用して、栄養士が綿密に調整したカロリーやエネルギー密度、脂肪、炭水化物、タンパク質、砂糖、ナトリウム、食物繊維の量をそろえた自由選択メニューでは 超加工食品のメニューで一日500Kcal多く摂取し、2週間で900gの体重増加を招いたことを紹介しています(食欲の暴走を招く?超加工食品、別冊日経サイエンス:食と健康、2020年)。
_特に工業化で精製されたトウモロコシや大豆からの「異性化液糖」「加工デンプン」などが食品に加工(当然これらの生成抽出されたものには天然由来の「食物繊維」は一切含まれていません)され、ハンバーガーで50%、ミルクシェイクでは80%がトウモロコシ由来であることが指摘され、まさに高度に加工された「食品の単一化」となっているのです。また養殖された牛や豚や魚でもこれらの穀物由来の餌で育てられたものであることも指摘されています。(続く)

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